波照間島 西浜荘のおじーとの出会い

僕がオジーに出逢ったのは、2013年11月。

仕事の区切りが付き、一週間ほど休暇を取ることができたため、波照間島に旅行することに決めた。

インターネットで波照間島のことを調べていると、暗黙のルールで島に宿泊する場合は訪れる前に宿予約をしておくべし、というのがあるらしい。

とはいえ、11月のシーズンオフ、なんとかなるだろうと、予約をせずに波照間島に着いてしまった。1時間ほど島内を歩き回ったが、旅行者を誰一人見かけない・・。時間が夕方になっていたこともあり、さすがに宿を探すことにした。

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何気なくふらふら歩いていると、とある宿の前で洗濯物をするおじいさん。泊まる宿に特にこだわりもないので、なんとなく見つけたこの宿に泊まろうと思った。そして、黙々と洗濯物を干すおじいさんに道路越しに大きな声をかけた。

「今日から2泊、泊まれますかぁー?」

反応がなかったので、一瞬不安になった途端、沖縄なまりの独特のイントネーションで返事をした。

「すこぉし、待っててぇ、ください」

とてものんびりした島では、誰もがこんな雰囲気なのかな。

現地の人との出逢いを楽しみにしていた僕は、フレンドリーに話かけてくれるという感じではないその雰囲気を、少し残念にも思えた。西浜荘には、結局2泊したのだけれど、初日と2日目の夜は、これといった会話をすることもなく、僕は波照間島を楽しんでいた。

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3日目の朝、僕が帰る日。日中小屋の中を掃除していたオジーを見て、僕は「暇なので手伝いますよ」と言って、ホウキで小屋の中の掃除をした。オジーは、特に何も言わなかったが、軽くうなずいた。

小屋の中にあった古びた冷蔵庫を捨てるとのことだったので、一緒にゴミ捨て場まで運ぶのを手伝ってみた。オジーは、ありがとうを言うこともなく、小さな声で「よし」と言った。独特な雰囲気を持ったオジー。不器用な感じ。

そして、島を発つフェリーの出発時刻まであと30分。
僕は、仕事をするオジーに大きな声で、「そろそろ時間なので行きます!また来ます!」と言った。

「んん? あぁ、気をつけてぇー」と言ってくれた。けれど、そう言うとすぐにオジーは、仕事に取り掛かり始めていた。

なんだろう、この気持ち。昔、週末やっていた何とか滞在記のような、感動的な別れではないけれど、のんびりしたこの雰囲気。

僕がこの島を訪れたのは、僕にとって特別な時間。けれど、この島ではそれが日常、昨日と変わらない今日。

必ずまた”この島”、”この宿”に泊まりたい、不意にそう思えた瞬間だ。
都会の喧騒からつかの間抜け出していた僕は、遠い南の島でそんなことを考えていた。

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